それが喩え、だとしても/
たりぽん(大理 奔)
凍える桜の枝を煮る
花の色に染まる
記憶のひとひら
なくしそうな
砂のらくがき
ため息で
消して
あなたの指した
電柱の奏でる擦弦楽の季節
手をさしのべても
触れるもの何もなく
自分の胸
抱きしめては
朝(あした)の方角を探す
悲しいことばかり
じゃなかったのに
あなたを思い出した途端
とまらないものがある
水面(みなも)に揺れる
プレアデスのように
届かない
時間がある
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