終着駅から始まる眠り/千月 話子
昨日 切り捨てられた廃線の
駅 構内には
まだ暖かな気が
そこら中に点々と赤味を帯びて
揺れ立っているというのに
朝に 幕
夜には 鉛の月影が
ゆっくりと光りを奪っていくのだと
思い知る
高架下の生暖かいストーブと
果てない話 聞く振りをして
眠らない電車よ
眠れない私の頭上にくっ付いて
どこまでも追いかけてくるのか
息苦しい窓を少し開けて
冷気と夜の空は澄んでいるというのに
あの廃線の静かな街を想い
その重い車体に鞭打って
悲鳴を上げて叫んでいるのか
それならば 憎まないから
それならば 嫌いにならないから
眠らない電車よ
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