嘘つきエッセイ/仲本いすら
 

78歳の今となってはもう、どうだっていいことなのだが
8197番目のミッツェル、私のあげた隕石のかけらを返してほしい。
今度、学会で使うことになってな。

私は、正直なところ政治家というものがキライだ。
そうだ、あいつら。あいつらは私の奥歯をだめにしていった。
ワイロだかなんだか知らないが、あいつらめ。
「甘い罠」とか言う名前のもなかなんて置いていきやがった。
おかげで奥歯は虫歯にくわれちまったよ。

そうそう。

余談なのだが、昨日の夜ゴハンは
ミスター長嶋の家でごちそうになったんだ。うまいサーモンだった。

私はうそつきが大嫌いだ。
なぜかといえば、そう、忘れもしないアノ日。
私はうそつきに「うそつき!」といわれたんだ。
おまえがうそつきだろ、と怒ってみたら
おまえがうそつきなんだ!と返されてしまった。
まったく、とんでもない世の中だ。






明日で79歳になる私だが、一つだけ気になることがある。

この嘘がバレたとき、私はどんな顔をすればよいのだろうか。




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