黄昏アラベスク/まどろむ海月
 
だす
背後の水面 盛り上がり
潮吹く鯨も 登場だ
空の轟音 驚けば
ゴリラの飛行機 宙返り

怪力男が鎖引き
駄菓子屋台が 舞台上
見慣れたお婆さん現れて
かぶりてぬぐい ほどいたら
この世のものとも思われぬ
なんてきれいな妖精か
屋台の駄菓子も いつのまに
ルビー サファイヤ エメラルド
オパール 真珠 金 ダイヤ
翡翠の杖が ひらめくと
宙に浮かんで 速さまし
至高の宝玉 惜しげなく
花火となって はじけ散る

すべての景色 色と成り
虹の形に 消えてゆく…

夕闇の風に さらされて
少年は目覚めた
耳に残る あの調べ
微かに空の彼方に漂って
少年は 丘を登る
走れ 走れ あの音が消えぬうち

丘の上で 見回しても 
  何もない… 
 いや 満天の !
 
 満天の 星空だ
   
   星空だ…





   






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