「夕焼け」/hiyoku
 

夕日が沈みきるまで見つめていようと思った

結露で曇るガラスの向こうの 紺青
淡いエメラルド
山吹




誘われてふいと外に出る


やわらかい 丸い 風 体を巻いて
目をとじて 感触を確かめれば
春は すぐそこまで来ていると
髪をかきあげて


あたしは 何だか切なくて
体 は トクンと 鳴った


小さくなる夕日を遠くに
部屋の真ん中へ 帰る

消えていくグラデーションを 何度も見つめ
降ってきた漆黒を 吸い込みながら

終わっていく今日を 思う

大切なあの子を


冷えた空気に鼻の奥がつんとして
感傷の雫で心は溢れる

トクンと鳴った

あたしは

雨戸を閉めた
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