猫とさくら/緑茶塵
彼の目を見た
それはどんな事を物語っていたか
映画でもない、小説でもない
私には、彼の気持ちをつかめなかった
画面には、猫が踊っている
肩を組んで楽しそうに歌っている
出会うことが映画のようでも
別れのときが最悪だって事はありえる
それは、恋愛も友情も変わらない
無機質に有機質な私は画面の扉を開く
有機質な私は無機質な無邪気に取り残される
猫が歌を歌う
私は画面に向かって文字を打つ
誰に?
誰だって良かった
いっそ直接本人に送ってもいいだろう
そんな事、思ってみてもやりはしないが
記憶のどこかで、この愉快に笑う猫たちを覚えている
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