秋の下/鈴木(suzuki)
 
遠くのびる秋雲の下

焦点を合わせられぬ、黄金色の海原で

風のつくる裂け目を見ている

世界の断層が、そこら中に散らばっていて

眼の先は、何処かへと続いていく

ひとつに定まらぬ像が重なり合い

ひろがりゆく景色の中

ほどかれてゆく輪郭を置いて

ただ僕は

そのままに、在りの侭に

風に包まれ、やわらかく溶けていく
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