いろくづのなみだ/
佐々宝砂
ぎちぎぎりちぎちちり
湖水が夜半に凍ってゆくよりもゆっくりと
圧縮する
大木を一冊の辞書にする工場よりも残酷に
圧縮する
ちぎちちりぎちぎぎり
なんとなまっちろい頸
この白いものはもうすぐ白くなくなるのさ
なまぬるい赤に汚れて
決して鮮やかではない
温血動物の腐りかけた赤に汚れて
鰐は哀れな獲物を食いながら
空涙を流すという
泣いたほうがお好みなら
おやすいご用さ
滝みたいにサービスしてやるよ
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