青い切符/佐々宝砂
青い壁は膨らみ私は身動きがとれない
東側の大きな窓は下向きになる
広場に立ち並び仰ぐひとびと
ぎーよんぎよんと振り子のように
揺れている世界
上下に左右に動きたわんでゆく風景
危うい綱はきしんでいるのか
それを知るすべはない
どうしてこんなことになったのか
私には知るすべがない
見知った、そうだよく知っている街を
私は走っていた
ショウウインドウに飾られた服
つまらないけど人を魅せる雑貨
雑踏とおしゃべりと営業スマイル
見慣れた角を曲がると
見知らぬ駅があった
新聞紙を着た駅員が微笑みながら
私に青い切符を手渡す
モノと書かれたその
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