東京Days/霜天
 
そして
それがほしい、と言う
響かない足音が、ついて来るのを待たずに
それがほしいの、と
繰り返して、言う

これだけ
狭い雨で何が望めるというのだろう
手を伸ばせばイチからゼロにぶつかった
不自由な僕の妄想
小走りに探しに行けば
影の先端から途切れていく
表面のないビルの中で中身のない人と出会う
それでも、挨拶は繰り返した


 改札口
 から、広がっていっても
 いつもどおりに震えてしまうので
 手を繋いでいたかった
 繋いで、いたかった
 嘘をひとつ切り抜けては
 削られるようにして、振り切れない
 薄い煙のかかる世界で
 あの天辺は、いつも見
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