/当麻完二
 
歩くと足が痛いのは
貴方の足が好きだから

走ると腕が軋むのは
貴方の腕が好きだから

眠る時は貴方の顔になって
食べるときは貴方の舌を感じようとする

手や足をお風呂につけても
体だけは入りたくないと拒む私の体は貴方を好きで
手にも入らぬ貴方の形を今もひしひしと追いかけており
何か少しだけ得たような感覚を今日も感じる。
しかし
その反面私は貴方の何者でもないということを
生きている間ずっと感じることになるのだろうと思う。

結局その一つ一つや体の一部分たちは右往左往して
自殺していくんだろうなと(それが細胞分裂なのかなと)
つまらないことを考えて
私は
貴方の家の壁にある染みを思い出す

あれは私のような顔をした
染みだと
思い出す
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