はじまり/さち
どうも気に食わない奴のような気がして
嫌味の1つも言ってやりたくなる奴で
いちいち突っかかってくる奴で
会った日は一日不愉快で
どこにでもある平凡な顔で
むしろ「ええぇ〜?」っと言ってしまうほどで
好みからいえば問題外で
それなのに
心は
振り向いていたのかもしれない
私の眼が
否定的に睨みつけていたとき
心は
「おっ」と注目していたのかもしれない
どうみても
美形ではない顔が
一瞬ひどく印象的な表情を見せることに
心だけが
先に気付いていたのかもしれない
心だけが気付いた「何か」が
いったい何なのか
私は知りたくて
何度も会うようになったのかもしれない
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