あなたの知らない世界/和泉 誠
トラウマ等を引き起こす心的外傷を治療する時、
一般には療法士が患者と共に過去の記憶から
その原因となる抑圧された心理的ストレスを見つけ、
それを患者が意識的に認知することで症状を消すという治療法が知られています。
ですが、それは時に患者に著しい心理的ストレスを与える場合があり、
それは危険を伴うものなので、
今日の心理療法学では催眠療法という治療法がより一般的になっているようです。
催眠状態になると、人は覚醒しながら意識のない状態になります。
その状態になるとはっと気が付きます。
私が“私”と信じて疑わないものが、
実は全体のうちのほんの一部分でしかなかった事に。
例えばトランプで神経衰弱をする時に試してみてください。
意識してカードの位置を記憶しない。
ところがいざめくってみると「あ、このカードはたしか・・・」と勝手に思いつく。
“私”は自分の意識の中に浮かんでいる小さな島の住人に過ぎない。
「これは私の体。私が主人」と考えるのは誇大妄想で、
「私はこの体の住人の一人でしかない」と考えるのが正しいと気が付くでしょう。
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