ストーヴリーヴズ/かぜきり
過去は更新され
現在は蓄積されてゆき
記憶に残るのは
ただあなただけの笑い声
ただわたしだけの溜息
薬缶はストープの上で
いつまでもかちかちとnaっている
ストーブの灯は足されなくなって久しく
長らく思い出していなかったことに触れて
そっとストーブに灯りを入れる
薬缶はなるのをやめて
うっすらと蒸気をあげはじめた
あたりにただようやわらな蒸気を吸い込んで
はなのあたりがクシャミをもとめてやまない
このクシャミで誰かが思い出してくれたら
それは少しおもしろい
そうぼやいて
乏しい暖気にみをひたし
まどの結露にうるおうのは
瞬く夜の色をした
口中の葉っぱ一枚
戻る 編 削 Point(1)