もう一度、帆を張ろう/和泉 誠
ついに突き止めたぞ
それは無意識の中にある
それさえ自由に操ることができれば
僕は本当に欲しいものを
好きなだけ手に入れられる
もういつ消えるかなんて
心配しなくていいんだ
決して失われないもの
すべてが虚ろで流れ去り行く
そんなこの世界で唯一確かなもの
それは自分の中に眠っていた
夢や理想、愛、安心の類
それらはすべてこの身の中に
この小さくてか弱い心の中に
やはり僕は正しかった
限りある時に惑わされて
心が意味もなく焦ってしまっただけ
人は言う
そんなもの現実じゃない
実際には手に掴む事さえできない
味のない偽者だ
そう思うのならそれでもいいさ
ただ僕は本物だと信じることにした
これを体験したとき
確かな実感を感じたから
科学万能の時代に
空を旅する僧になろう
その手には何も持たず
ただ真理だけを極めし者になろう
さあ、考えただけでワクワクする旅を
たった今から再開しようじゃないか
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