幻の獣/AB(なかほど)
今日一日でだいぶ雪が溶けた
こんな日には
境内の鶏が砂をついばんでいる
はずなのに
昨日のニュースのせいなのか
一羽も見当たらない
従属栄養生物は
生きるために食べる
食べるために他の命を貰う
生きていた命と
たずさわった人の命を削った時間
を貰うので
いただきます
という
もうすぐ子供達が学校から帰ってくる
昼下がり
境内の鶏は砂をついばんでいる
はずなのに
昨日のニュースのせいなのか
誰の命にもならないまま
消えて
一羽も見当たらない
誰のせいにもしないで
と狛犬さんがそっぽ向いた
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