溺れる魚/本村K
 
アオ色に吐く息
振動する空気
夜に暮れる心には
何も存在しない
沈黙を貫く耳鳴りに
周囲の反応をうかがっては
孤独を憂越感で溺れさせようと
もがく私に
クレパスで書きなぐった自由は程遠く
ただ無限に水面に浮遊する
憂鬱の日々

虚無に首を締めつけられたとき
抵抗する術を知らなさ過ぎていた
一面に広がる
孤独を名乗る絶望に
一度沈んでは跳ね返る
一定のリズムで
永遠に浮き沈みし続ける

到達地点を間違えた
私が私であることが
苦痛に歪んで破裂した
焦げた苦味は飛散した
消せない自己認知を
夜の闇で押し潰して
もう動かないで済むように
羊水で溺れさせて欲しかったのに
今できることは
いつか死ぬために生きることくらい
ここに選択余地は無い

胎外へこぼれ落ちた瞬間から
既に残されてはいなかった
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