【 僕と浮浪者 】/豊嶋祐匠
 

解らない



ただ

ひとつだけ
不思議なことを思う




少なくとも

放浪者と
僕は

同じ時間の中

この同じ
瞬間の中で共に生き

共に同じ方向に
向かって
生き続けている




二人の
生きざまが
どうであろうと

放浪者と
僕が

同じ瞬間を
生きている事は

確かだ




なぜ僕は
あの放浪者ではなく

なぜ放浪者は、

車に乗った
僕じゃないのだろうか?





何かが
違ったにしても


共に同じ方向に
生きている以上


放浪者と
僕において


逆の立場が
有り得ないとは

けして思う事ができなかった。














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