物欲だけの愛の無い欠片/よだかいちぞう
けてくる
ここから去る
引越しをすることを
ぼくはその彼女の言葉を聴いてる振りして
彼女の家で捨てたものを
掻き集めていた
彼女は夢の中のこどものぼくと
同じぐらいの年だった
彼女には気品があり
世の中のすべての事を
見透かしているように見えた
そして何か
もの寂しいようすだった
彼女とそのとき旅に出た
財宝や値打ちのある古い柱時計を捨てて
旅に出た
どこにいこうか?
大きな道路を渡って白い公園に行こうか
彼女からの最後のプレゼント匂い球
名札の裏に入れておこう大切なものだ
ぼくは彼女のことを考えず自分の私欲を満たしていた
そんなガラクタ捨てて
大きな道路を渡って
あの白い公園にいけばよかった
ちゃんと二人とも毛糸の手袋をして
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