べべ/和泉 誠
 
大きな眼鏡におかっぱ頭
そばかすだらけのべべ

僕は君が大好きだった

君は僕の話をいつまでも黙って聞いてくれた
決して口を挟むなんて野暮なことはしなかった

君は僕がどんなに素敵な言葉を並べて誉め称えても
いつもそっけない返事しかしなかった
でも言葉とは裏腹に真っ赤になる頬がとても愛しかった

後ろ向きなマイナス思考を背負ってるくせに
夢とか理想とかそういうものばっかり語る僕に
いつも金魚のフンみたくくっついてきた

君には誰よりも幸せになってもらいたかった
僕にはそれができると思ってた

でも僕は彼女を救うには
あんまりにも無知であんまりにも無力で

[次のページ]
戻る   Point(0)