詩のすてきなところは たとえば/七尾きよし
詩のすてきなところは
たとえば
私が詩を朗読する
そこには私が
経験もしくは空想に基づいて
意図して書いた何かが含まれる。
つまり私にとっての意味
朗読を聴いたあなた
の中に意味が生まれる。
それは、私にとっての意味とは
また違うもの
あなたというエネルギーのフィルターを
通り抜けた私のことばは
新しいものに生まれ変わる
十人いれば十通りの意味が生まれる
それは別に意図したものではなく
聞くことによって
自然に湧きあがってくるもの。
意味は意識して生まれるわけではなくて
決してすべて意識されることの無い
あなたという存在全体の響きが
私という響
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