小さな約束/和泉 誠
 
たの歌が好きだった
夜の闇をまとって二人で誰にも秘密のデート
僕が唄い、あなたが唄う、そしたらまた僕が唄う

いつまでも続いてほしい
僕はそこに永遠を願った

けれど時間が僕を強欲にして、君を怯えさせた
怯えた君はたくさんの嘘をついた
僕はそれを全部真に受けて複雑な迷路に迷い込んだ

実は今も迷路をさまよってる
君が消えてやっとすべてがはっきりする
そして待ち受けているのは後悔だけ

去りゆくあなた
待っているのが後悔だけなら出会った意味なんてないから
だからここで小さな約束をするよ

僕と二人で唄っていた頃の手紙を机の片隅でいい
いつまでもそっとしまっておいて
僕は今よりもっともっと勉強して
いつかこの名前を世界中の至る所に刻んでみせる
そしたら君は僕の伝記に登場して
眠っていた手紙は博物館行きだよ
その日は必ず来る
僕を信じて
だからその日を楽しみにしていてね

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