自由/大覚アキラ
数週間ぶりの通り雨が
アスファルトを濡らし
埃っぽい匂いが
足元から染み込んでくる
夕暮れの改札口目指して
傘を持たない人の群れが
一目散に突っ切るスクランブル交差点
そのど真ん中に
まるで一本の杭みたいに突っ立っていても
誰一人見向きもしない
そんな孤独
そんな自由
私は
誰とも約束を交わさない
私は
この世のあらゆる約束から切り離されて
孤独で
そして
自由だ
信号が変わる
轟音を上げて急発進したトラックが
私の身体を見事な勢いで撥ね跳ばした
私は
もっと自由になれた気がした
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