曇り/
蒼木りん
夏が終わる頃を想い出していた
激しい太陽に
手を伸ばすだけ伸ばし
何もかも疲れきって
もう終わりだと
呟く
9月ごろの
冬は
雨の温度で終わりを知る
目に浮ぶのは
人知れず生きている
梅の蕾
ネコヤナギの花
みんな雨の雫に濡れていた
死んでゆく季節と
生まれだす季節
雷の声さえ
違うのを
誰か
聞き分けられるか
戻る
編
削
Point
(3)