T教授研究室/馬場 こういち
「きみの書く詩は、うーんと、なんといったらよいか困るなあ。
はっきりいって、わからない。
テーマはなんだい?
『これを伝えたい』っていうような。
ないのかな?
まあそれでもいいけど、そもそもきみは、主張する学生ではないし、まったく主張しないっていうわけではないけど。
僕が見る限り、きみはときどき、あえて発言を避けてる、と思うときがあるよ。
それが、きみの詩とどう関係しているか知らないけど、きみ自身は自分の詩をどう思う?」
「なにか発言しようするとき、決まって反駁する意見が頭の中に浮かんでくるんです。
『一概にそうじゃない』『こういう意見だってあるだろ』っていう感じで。
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