涙という名の勇気/
和泉 誠
冬の夜だった
大声で泣いた記憶がある
涙でぐしょぐしょになりながら
鼻水をだらだら垂らしながら
言葉にならない叫び声をあげて
悔しかった
ただ悔しかった
失ってしまったから
もう二度と同じものには出会えないから
泣け泣け
もっと泣け
失ってそこまで悔しがれるものに
出会えるのは長い人生でも滅多にない
あの時流した涙は
今でも僕の胸を熱くする
何もかにも疲れてしまった心に
さあ、もう一度だと勇気の声をかける
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