七月のバラッド/狸亭
 

長谷川七郎八十二歳の詩集『もうおしまい』
くもり空の伊豆高原で祝いの酒宴をはった
そこには詩人のぶあつい生の風景が舞い
夏の夜はたのしい談笑のうちにふけていった
女流反戦詩人の膝枕はやわらかかった
心臓かいならしながらロシアンスクランブル
よろよろと二十世紀をとびつづけていった
たかい背丈がいまもぼくらの詩魂をゆさぶる

その七月の下旬格安エジプト航空のせまい
座席におしこめられてのマニラ経由だった
バンコク スラータニととんでいった愚昧
タピー河から快速艇にのって海上レガッタ
ヨーロッパ大衆なみのいっぱしのプチブル
きどりでもないが空には阿呆鳥が舞った
とほうも
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