ストロベリージャム/クローバー
 



ある日の朝、僕は朝を見れなかった

その日、夕日が
毒々しい赤をひらひらと空に切り貼りして
とてもイチゴジャムだった

あの晴れの青を煮詰めてできた
ブルーベリーの闇に、
白く光る種の欠片、歯に引っかかって食べずらい
太陽が、しかめっつらで、空に文句を言って
ブルーベリージャムの付いた僕の心を
パクッと食べた

ある日の朝、僕は朝を見れなかった

その日、ブルーベリーが
やってきて空を覆うと
太陽のおなかの中で、僕は繭になって空をわたり
イチゴジャムを塗り始めた頃、バターナイフに切り裂かれ
毒々しい赤に鮮血を混ぜた

ブルーベリーの闇も笑顔の太陽も
イチゴジャムの空も、二度と見られなくなった

今は、ビン詰めされて店の棚に
夢を見せるストロベリージャムとして
並べられている。




 

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