あかときの空のもとへ/いわぼっけ
来たれよ あかときの空のもとへ
向かへよ 神のしもべの羊たち
長いねむりから醒めて東の空に太陽がひとつ
見えたとしたらそれは幸福の証だ
風のない朝だというのに樫の葉の薄緑が落とす
地表の影はけものめいて律動する
万物の律動に関わるこの石塊(いしくれ)のような鉱物のかほりをきいてみるがいい
こころ浄らな者には精霊の歌声となるであろう
「呪わしくも崇高なる天の一撃 今 汝に与えたもう」
この呪術の言霊がおまえ達をさいなみ
自らのその情念の一矢が再び、みたび自らを射殺す
来たれよ あかときの空のもとへ 向へよ 神のしもべの羊たち
待ち受けている節くれだった指がその喉を掴もうと結して鳴き声はあげるな
おまえ達の魂が昇華するための聖なる晩餐である
今おまえ達の血の一滴までも
わが肉叢(ししむら)とする儀式は始まったばかりなのだ
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