痛みの庭にて/岡村明子
痛みの庭にしゃがみこむ
すべては照らされ
すべてはまぶしい
誰かが
「」と言っている
私は見られない
うつむくまま
光が透過する
うつろな体の殻
(ここはどこか
という問いには意味がない
ここには道がない)
どこからかやってきた
無数の
むなしい体が
いびつに
転がっている
この庭
を
いつくしむ
庭番が
ときどき
時を告げる
ここでは
誰もがひとりなので
なぐさめるという愚行を働く者もいない
時が来れば
静かに去っていく
ただ
それだけのこと
ただ
それだけのために
すべてはあたたかく
すべてはむなしい
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