朱い飛沫と君の鋸/あまくちペルノ
 
昨日、ゆるせないことを話すひとがいた

その瞳は私に向かってまっすぐ
しかしその瞳の奥にぎらりと光る諸刃の刃
それは許せない事の全てを 私にぶつける眼だった
それは許せない事の全てを 私にもとめる眼だった

あまりにまっすぐぶつけるから
私は君の瞳を見ることが出来ない
その瞳とかち合ってしまったなら
もし諸刃の刃を目にしてしまったなら
たちまち私の眼は見えなくなってしまうだろう

私は恐怖に慄くばかり

助けようと伸ばした手が
朱い飛沫に染まるのを
いつかの夢で見た

君は未だ瞳の中の痛みで暴れる

底の見えない憎しみに
天井の無い怒りに
真っ暗闇の虚
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