家族を失った君へ/七尾きよし
悲しみをことばにするとき
そのことばを捧げる人の顔が浮かんできて
切なくて
からだがひきさかれるような痛みの中で
しょぼくれた顔をする私にむかって
彼女は静かに話してくれる
ただ何も言わずじっとわたしを見つめることで
どこにもやりどころのない感情を
誰もわかってくれやしない悔しさを
彼女はただ黙って聞いてくれ
無言のことばで答えてくれる
泣いていいのよ
感じていいんだよ
あなたはここに生きている
わたしは
あなたとここにいるんだよって
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