溶けのこる/
 

くるまのなかからみわたした日常、って

やけにへいわで
しあわせな夢を見そうになった

うたたね

微睡んでいるあいだ
あの人がくるまをすすめたぶん

訊けないことがおおくなる

せかいにはきちんと
他人がそんざいしていて
あの人もそうなのだ
おもいしる

助手席は
すこしずつ
くいちがっていく視点

なんのたすけにもならない

ごめんね
だけ
重なって
そこらじゅうに溶けだしていく

ゆるされる、それも

しずかなへいおんは
しずかなままに形をなくす

くるまをすすめた、ぶん

まじわるてんがとおくなる
かなしさと夢で繋がるのは
しあわせなつくりばなし

手にふれる
つまさきから、なぞる

りんかくがうまれる

終着点
また、のびた

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