夜色/
健
ベランダから見上げる夜に
存在しなかった
色彩は
どこにいってしまったのか
青も白も赤も灰も
全て飲み込んで
夜は静かに笑う
今日は星が見えない
そこに 雲が浮かぶ証明はそれだけ
黒く黒く黒く塗りつぶされて
輪郭をなぞりたかった指先
持て余してしまう
見下ろせば
街灯に照らされた樹
不自然にみどりを主張して
浮かび上がる
誤魔化して生まれた
きれいな思い出
ぼんやりと
かすんで
とけていく
息だけが
ほんとうの白に染まって
空にのぼっていく
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