若者よ/和泉 誠
夢のような激しい恋
それは夢のままだから美しい
それが身を持って分かったのだから
あるいは私は幸せになれるかもしれない
勤勉で誠実な若者が
年をとってから
偉大なる賢者になるとは限らない
愚かで不埒な荒くれ者が
年をとってから
穏やかで聡明な老人になるやもしれない
過ち、間違い、失敗に後悔、挫折や絶望の類は
幸せを勝ち得るために
通らなければいけない試練の道と彼は言う
もし本当にそうならば
私の暗く悲しい過去は無駄ではなく
むしろ役立つものでさえあると言うのか
老人は間違いを犯してはならない
先が短いのだから
世界は粥やジャムではできていない
無理をして飲み込むか
かみ砕けずへこたれるか
そのどちらかだ
若者は大いに迷え
そしてその試練を乗り越えよ
いにしえの文豪の威厳に満ちた声が私の中にこだまする
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