無題/---
さんたちは一斉に駆け出して
絶叫しながら抱き合う
それは確実に暖かい空白だった
抱きしめられたい人たちが飲むお茶には変わった成分が入っていて
それが季節ごとの匂いを作っているんだ
それはとても切ないから
扇いで嗅がないとやられちまうぜ
じっさい毎年何人もやられてる
日々の隙間から24時間以上の一日が漏れる
その悲しい暇をぬうように
名無しさんたちは叫ぶ
「ぼくたちはすでに出会ってしまっているのに
気付かずに死んでいくんだよ」
*
モスバーガーの名札を拾った
個人情報がどうのって言われてる時代だ
それを交番に届けたら
童貞だね、君って
そんなふうに拘束されちまった
俺
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