終わりなき日常/七尾きよし
「終わりなき日常」という言葉。ぼくが東京で学生をしていた
10年ほど前によく聞いた言葉。
ゆうべ見た映画の中で貧しさの中で生きるママさんが
生きてるってことが夢みたいなの
なにが現実かもうわからない
って言ってた。
その中に沈没して
私という存在が消えてしまうような
現実。
昨日と今日と明日にいったいなんの
ちがいがあるのか
だなんて考えはじめるとたん
今日の今という時間から現実感が
消え始める
何のために
何を願って
生きてる
そんな素朴な疑問など
生まれてこないように毎日の生活の中で
沈没して
いつの日か
顔を失い
名前を失い
ぼくとあなたの違いなど
どうでもよいことになってしまい
生きてるって実感がないことが
生きてる実感になってしまった
今
夢が覚めるとき
そこにはなにがあるの
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