遺跡へ/こしごえ
魔法瓶に夜空をみたし
ほの明りの朝、遠足に出かけた
あいさつをしたら
光の丘で
化石だった風が
重く熟して
翼となった
種子
小さく瞬(まばた)きをすれば
霧散している光へと
翼は乱舞したあと
一輪の青い花となった
血のさびた形質の
外観の列柱には
風雪に刻まれた
紋章のゆくえしれず
ここまでは、ながいこの道のりを
幾重にもちりつもった灰を乗り越えて
夜空でかわきを潤しては
舟で銀河を流れるありさま
とうとう星も尽きるころに
すいっと視界がにじみ、ここに辿りつき
一陣の清風
あとは、のこりの夜空を花へとそそぎ
光の海へと帰る面持ち
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