マキシマム/---
 
しろめたさや感傷には
まだ名前なんかなかった

言葉で一体なにが伝わるかなんてずっとずっと一生気付かないまま
俺たちのダイアリーが残り数冊になったとき初めて知るだろう

いつか俺たちは旅に出て
女の子たちは笑いながら花を摘み
草冠を乗せた美人もブスも等しく愛しい日が来る
エロ本になかった女の子の生態を知る
まばらに霞んだ想像力だけが郷愁
「帰るところはまさしく思い出の中のイメージです」

だから誰か俺にエロ本をくれないか
あのとき胸やけしそうに興奮して
まるで小さな神様に手を合わせるように
隅々まで記憶しようと必死だった俺を

そんなこと考えてたら、市役所のおじさんに、早く書類を提出して下さいって言われてハッとした、でも何の書類かすぐには思い出せなくて、
あ、すみません、ってボソッと言ったらトレイみたいなのを大きな音で突然置き直したからびっくり

気づいて慌てて自転車で引き返すも、雨
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