ある夜、響く音/
健
耳鳴り
それは耳鳴り
眠りの中から
実はもっと前から
絶えず 響き続けて
聞こえない
それは普段聞こえていない
突然に気付くのは
何が原因なのか
いつもわからないまま
時計の針を奪われてしまう
動いている
圧倒的な大きさで
この小さすぎる体の中で
震えている
血の管を揺らして
まだ続いていくということに
再びやってくる
聞こえない
朝
静かに
確かめてみる
両の手のひらを
そっと 耳に押し当てて
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