強がりの裏の嘘/和泉 誠
 
のがすごく苦手なんだよ
それに現実でなければいけないってこだわりもないし

だからね
ある意味これが僕の理想なんだ
現に昔の僕はこれを望んでいた

ただね
前々から話しているとおり
僕は何でも飲み込む闇の胃袋を持っているんだ

この幸せなんてとっくに食べてしまって
もっとおいしいものを食べたいって言ってる

分かるだろ?
もしも君が君のすべてを僕に食べさせてくれても
僕はまたもっとをおいしいものをって
君を食べ捨ててどこか遠くへ出かけてしまうことが

僕は幸せにはなれないよ
おそらく一生
あるいは年をとってボケてしまうまでは

ともかく
君に言いたいことはね
僕をずっと見ていてちょうだい
僕はきっと君の期待に応えられると思うから

君に見られていると感じるだけでね
僕はそれはもうがんばらなきゃって気になるんだ
格好つけて強がり言っても
それは結局君に聞いてもらいたいだけなんだよ

君のことが好きなのか分からない
こんな強がりも
君に聞いてもらえるから
だから意味があるんだよ
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