ドライブ/「ま」の字
─佐々木好に捧げる
象が飛んでゆく
キリンが飛んでゆく
バオバブの木や やわらかな色合いのにんじんもとんで
ねえ、
どれもこれも飛んでゆくものたちはまるで
いつか見た 夢のように輪郭もさだかでないけれど
私たちこのうすあおい空をながめながら
どこまでドライブするの
ねえ、
ずっとずっとドライブ この道はふたりゆくけれど
もう私
あなたの顔さえさだかには覚えていない
象が飛ぶ
キリンが飛ぶ
バオバブの木や やわらか色の にんじんも
よくわらった
あなたとわたしのとおい日
とうとう
思い出にすぎないみたい
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