息継ぎの音階/かぜきり
震えの奥底から湧き上がる泡沫をとても羨んでいます/
月夜の波間にて、 浅い息継ぎを繰り返しながら仄かに輝く海を泳いでいます
何時も誰かの手を握っていないと浮かんではいられなくなってからというもの
水面を見つめる距離はとても近くになってしまいました
空から注ぎ来る月明かり語る歌がどのようにしてか私を責めている様で五月蝿くて仕方が無いので
歌声に負けないように笑うのもいたし方がないと口の端を上手にひきあげてみました
笑顔の模型を脳裏に掲げていなければ笑えなくなってしまったような焦燥を
表皮の裏に集めてしまいます 月光のあふれるところのくらやみ
たえまない感覚が薄ら寒さに覆われてゆき
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