金魚/きいろ
干からびてゆく金魚を
何の感情も無さそうに眺める
(あぁ、乾いてゆくのだな、と)
ピンクが赤にかわっていく
なぜ苦しむ姿はこんなにも奇麗なのか
(私は私であり、苦しんでいるのはそいつでしかないのに、少し、少しだけ苦しい)
『あぁ、死んだのか』
とうとう動かなくなったそいつは、
机の上で目を開けながら死んでいる
あまりにも呆気ない
呆気ないからこそ、人は怖がるのかもしれない、そう思った
(私はそいつを土の中へ埋めてやった)
飼っていたが、やはりそいつの命はそいつのものでしかなかった
思ったよりも、必要な存在だったのかもしれない
(虚しさをごまかすために、また飼った)
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