もし私の一生が/和泉 誠
 
もし私の一生がとてもとても短いなら
退屈なんかに邪魔されずに輝き続けていられたのに

もし私の一生がとてもとても不幸なら
私は死んだ後には天国に行けると安心できたのに

もし私の一生がとてもとても貧しいなら
素晴らしいもの達への憧れで明日を夢見られたのに

豊かなもの達に囲まれながらも
私は自らを満たす術をしらない

やはり人形劇しか
私が喜びを享受する方法はないのだろうか?

何故こんなに臭くて汚い現実から
喜びを掘り出すのにこだわっているんだろう
一体何故?

誰にも邪魔されずに理屈を一から積み上げていけば
出てくる答えは「全部やめちゃえよ無駄だから」

人生は悪しき冗談
だったらせめて私を本当の愚者にしてちょうだいよ

遥か遠方より来たりてまた彼方へと去っていく
0を意味する愚者という存在に
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