背中あわせに/まどろむ海月
背中あわせに
座った僕たち
手を伸ばして
あなたの手を探る
髪の匂ひ
白く柔らかな手
顔を見たことがない
顔さえ見たことがない あなたの
背の ぬくもり
夢ではないが
現(うつつ)でさえない
背中あわせのまま
あなたの やさしい
おもかげを抱きしめる
あなたの かなしみが 震えが
伝わってくる むなしさと
幸せを 抱きしめる
明日には
君も飛立つのだろうか
このぬくもりさえ
消えるのだろうか
それとも
私の背の
消えない
記憶として
とどまるのだろうか
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