秋/白雨
宿命に、付き従おう
奴らと違う言葉の洪水
さも苦しげな木葉の一群(ひとむれ)
秋、
情熱が去って
憂鬱がおとずれた。
灰色に淀んだ少年の目に、
おまえと、おまえのその黒い影。
広場の片隅でおまえは、
潔癖らしくいつまでも手を洗っていた。
うすらさみしい午後の一時(ひととき)
少年はうつむいた、ベンチに腰掛け、
風の音に気をかけながら、
薄汚れたズボンから、
一冊のふるい詩篇をとり出して頁を繰った。
虫喰いが少年を悩ませて
彼は眠った。―そこにおまえはやってきた。
そして静かに名を呼んだ。
少年の名。少
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