翼人の子サフィ/イオ
た気分です。
「風と湖のプレゼントね、きっと」
言ってサフィは微笑みました。「ありがとう」
もうさっきまでの悲しみはおさまっていました。
「サフィーーー!!」
頭上から大人たちがサフィを呼ぶ声がします。
「もう行かなくちゃ」
大人たちがサフィの秘密の場所を見つける前に。
「またね」
サフィは走って帰っていきました。
風と湖は知っていました。
いずれサフィが成長し、
春のそよ風を運ぶ娘として
生き物全てから愛される存在になることを。
翼人の中に稀に翼を持たない子どもが産まれますが
彼らは四季を運ぶ風使いになり、大地を育むのです。
サフィもその一人でしょう。
けれどそれはずっとずっと先のお話。
風と湖は彼女の成長をゆっくりと見守っているのでした。
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