馬鹿宣言/麻草郁
 
 我々は迷わない、我々は無為に過ごされる時間を更に無為にすべく邁進する、我々は無益な労働を賛美する、我々は駅前で奇声を上げる老人の杖となろう、我々は轍を踏む、何度でも踏む、平らになるまで踏む、平らになったらまた掘り返し、足を引っ掛けて転ぶ。我々は迷わない、間違った道を自信満々に踏破する、そして夕暮れ時に帰れなくなって泣く。我々は金網をたどる旅の途中で犬の糞に気づき大喜びする小学生だ、我々は近所に住む常にジャージを着てカンフーの真似事をする今年で浪人6年目のお兄ちゃんだ。我々は走る、どぶ川の横を笑いながら走る、川の始まりと終りを常に考え、次第にまとまりをなくした思考が夕食のカレーの匂いを思い出す頃に
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