年の始めに/けんご
 
年の始めに聞く歌は
遠くの街の君の声
降り敷く雪に傘をさし
凍てつく道をこわごわと
息を弾ませ歩く君
もうじき会おうねと語り合う

年の始めに思うのは
聞くに聞けない母の声
冷たい空の彼方にも
あなたの旅立つ舟探す
息をこらして涙ぐむ
安けきみ顔を慕うかな

年の始めの挨拶は
寝床に向かう父に言う
酒も少なくおせちつまみ
紅白見終えて年越した
後姿の淋しげな
目出度さ半分の正月よ



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